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ここまでの記事をお読み頂ければ、
顎関節症の原因を咬み合わせに求めるのは、
少し無理がある
のがおわかりになると思います。
・・・少なくとも理論的には。

それでも咬み合わせが気になるという方もいらっしゃるでしょう。

歯と顎の骨の間には歯根膜という線維があります。
歯根膜には、歯が触れたとか物を咬んだという感覚を感じる
センサーのようなもの(感覚受容器)があります。

上下の歯を接触させるクセがあると、このセンサーが鋭敏になりすぎ、
ちょっとした変化でも大きく感じる
のではないかと思います。

ちなみに、このセンサーは、かなり精密にできていて、
髪の毛一本を咬んでもわかります。
どのくらいの厚さの食べ物かわかります。
どんな固さの物を咬んだかわかります。
思いがけず固い物を咬めば、反射的に口を開けます。
通常でもこんなに鋭敏ですので、
これ以上は敏感になる必要はないのです。

また、このセンサーは脳につながっています。
いつも咬み合わせを気にしている場合は、脳の方の感覚が過敏になりすぎ、
ちょっとした変化でも大きく感じる
可能性があります。

  #これはどちらもまだ仮設の域ですが、
  #臨床経験から「当たらずとも遠からず」ではないでしょうか。

ですから、まずは、悪いクセを探して改善し、
咬み合わせが気になるならひとまず忘れて、
過敏になった感覚を正常な状態に戻すことが大切
です。


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今日は
顎関節症の治療で咬み合わせを調整することの問題点
をお話しします。

顎関節症の治療を目的として
咬み合わせを調整した患者さんが必ずやることがあります。、

それは

  咬み合わせを確かめる

ことです。

どうですか?
やったこと、ありますよね?

顎関節症の痛みは、大半が、
周辺の筋肉の使いすぎによる痛みだとお話しました。
筋肉を使いすぎると痛くなります。当たり前ですよね。

では、「咬み合わせを確かめる」という行為を考えてください。

咬み合わせを確かめれば・・・つまり、顎を動かせば、必ず筋肉を使います。
そうです。使わなくて良いときに使っているのです。

痛みがある=日常的に筋肉が疲れている。
これにもかかわらず、咬み合わせを確かめることで
さらに筋肉に負担を強いているのです。


逆効果ですね。

これが、顎関節治療として咬み合わせを調整することの大きな問題点です。


一見、がっしりとして動かないように見える歯も、
実は少し動く
ことができます。
揺らせばわずかにですが、前後左右に動きます。
食べ物を咬めば、20ミクロンくらい沈み込みます。
弱い力をかけ続ければ、その方向に動きます(これが矯正です)。


歯医者が咬み合わせの調整をする紙の厚みは30ミクロンですので、
わたしたち歯医者はこのくらいのオーダーの仕事をしています。
この程度なら、本来は、歯の周りの組織(歯根膜、歯槽骨など)、
脳の感覚を感じる部分で吸収できます。

つまり、歯科治療や咬み合わせなら十分に適応力の範囲内ということです。

乱暴な言い方になりますが、
歯科治療(詰め物やかぶせ物)というものは、
この人間の体が適応する範囲内に収めておけば問題ありません。

どんな名人でも、寸分たがわずに再現するのは不可能です。
それでも世の中の大半の人が何事もなく過ごせるのは、
体(歯や脳)が詰め物やかぶせ物に適応してくれるからです。

  #もちろん、もとの状態に近づけるのに越したことはありません。
  #歯科医は、もとの状態にできる限り近づけようと、日々、努力しています。

つまり、良い咬み合わせというものは、
「点」「ポイント」ではなく「域」「ゾーン」
なのです。

ほとんどすべての歯医者は、当たり前ですが、
このゾーンの中で詰め物やかぶせ物を作れます。

一般的に問題ないゾーンの治療でも顎にトラブルが起きるなら、
咬み合せにこだわり続けるより、他に原因を探る方が建設的ではないでしょうか。



咬み合わせを考える上での問題点は、
その人に合った咬み合わせが

「ピンポイントで存在する」と考えがち

であることです。

「ピンポイント」=「一点」

顎に素晴らしくマッチした良い咬み合わせがあると思っていませんか?
美しい咬み合せは「一点」で定まると考えてはいませんか?

そんなことはありません。

人間の体には想像する以上の適応力が備わっています。

顎がズレても、あるいは咬み合わせが変わっても、
少しくらいの変化なら体が吸収してくれます。
歯の根っこや根の周りの繊維や骨などが新しい環境に適応します。

ですから一点から少しでもずれるとダメということはないのです。



かく言うわたしも、以前は、恥ずかしいことに
顎関節症の治療として咬み合わせの調整を行っていたこともありました。

天然の歯を削ることはありませんでしたが、
歯医者の手が加えられた咬み合わせを調整していたことがあります。
対象は、詰め物(インレー)やかぶせ物(クラウン、アンレー)、
矯正をしてうまく咬まなくなった歯でした。

難しい話になりますが、「入れ歯で痛い」のは、
咬み合わせを整えると治ることがままあります。
本来、咬むべき位置と、入れ歯の咬み合わせが違う場合です。

わたしは入れ歯を専門的に勉強していたため、
(専門用語ではホテツ科と言います)
咬み合わせには一般的な歯医者よりよく知っているつもりでしたし、
上手に合わせることができるという自負もありました。

入れ歯と顎関節を同じに考えていたんですね・・・。
ホテツ科のドクター(仮歯で調整するのに自信があるドクター)は、
なまじ、ウデに自信があるだけに、
この落とし穴にひっかかってしまうことが多いのではないでしょうか。

調整すると、左右が均等なきれいな咬み合わせになりますし、
患者さんも「良くなった」と言います(気を遣っただけかもしれませんが)。
しかし、次に来院したときには、以前の咬み合わせでななくなっています。
患者さんも何かしら不満や症状を訴えます。


何かおかしいと思いました。

「プラシーボ効果」という言葉をご存知でしょうか。

プラシーボとは偽薬という意味です。
ビタミン剤(偽薬)でも、「痛み止めだよ」と医者に渡されると、
少々の痛みなら痛くなくなってしまう
というものです。

咬み合わせの調整にも同じことが言えます。

咬み合わせの調整をすると、
「歯医者が削ってくれたんだからきっと効果があるのだろう」
と思うことで、良くなった「ように」感じてしまう
のです。

実際には効果があるかないかはわかりません。
しかし、次に来院したときに症状があるということは
治っていなかったと考える方が妥当ではないでしょうか。

こうして、

  咬み合わせは顎関節症の大きな原因ではない

と思うに至りました。


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