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前回までに、

マウスピースの適応症
  1.夜、寝ている間に、歯ぎしり・くいしばりをしていて、
  2.さらにその力が強すぎて、自分の歯が折れたり欠けたり、
    詰め物、かぶせ物、入れ歯が壊れたりする

マウスピースの使用期間
  概ね1~2ヶ月程度


というお話をしました。

では、マウスピースを長期で使ったときに起こるトラブルについて説明しましょう。

マウスピースを長期で使うと咬み合わせがおかしくなる
可能性があります。

歯は力をかければ動きます。

親知らずに押されて歯並びが悪くなった
歳をとると前歯がすいてくる
矯正治療で歯並びを良くする
などなど、歯が動いている証拠です。

マウスピースは人工的に咬み合わせや咬み合わせの高さを上げる道具です。
人工的に作った咬み合わせが人間の体に良いでしょうか。
想像してください。

使い続けていれば、歯に不自然な力がかかり、動いてしまう可能性があります。
歯が動けば、当然ですが、咬み合わせは悪くなります。

特に日中も使い続けている(ほぼ24時間使っている)場合は要注意です。

実際に、マウスピースを2年間ほぼ24時間使い続けた結果、
前歯が外側に向かって傾斜してしまい(唇側傾斜/フレアアウトなどと言います)、
まったく噛まなくなったという患者さんをみたことがあります。
こうなると、以前の状態に戻すのはかなり難しくなりますね。



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とはいえ、私も、

  1.夜、寝ている間に、歯ぎしり・くいしばりをしていて、
  2.さらにその力が強すぎて、自分の歯が折れたり欠けたり、
    詰め物、かぶせ物、入れ歯が壊れたりする

という、マウスピースが適応になる人(ごくわずかですが)には
もちろんマウスピースを作ります。
ただし、基本的に非常に短い期間しか使いません

マウスピースは異物感を感じてこそ効果があるもので、
慣れてしまえばその効果はなくなります。
ですから長期で使ってもあまり意味がないのです。

マウスピースの使用期間は、基本的には1~2ヶ月です。
1~2ヶ月使って効果がなければ、
それ以上使い続けても同じ(=効果がない)と考えています。

医者から処方された薬を3ヶ月飲んで、
効果がなければ止めるか、薬を変えるかしませんか?
同じことですね。

「効果がない」だけならまだ良いのですが、
長期で使い続けたときには顎関節以外にもトラブルを起こすもあります。


今回はマウスピースを作ることの問題点を説明いたします。

顎や顎の周辺のトラブルを訴えて歯医者に行くと、
たいていは「ではマウスピースを作りましょう」ということになります。
そして良くならないことが多いですね。

なぜ良くならないのでしょうか。
前回も簡単にふれましたが、使う目的が違うからです。

結論から書きますが、

マウスピースを使って効果がある(=使う意味がある)のは、
  1.夜、寝ている間に、歯ぎしり・くいしばりをしていて、
  2.さらにその力が強すぎて、自分の歯が折れたり欠けたり、
    詰め物、かぶせ物、入れ歯が壊れたりする
場合
だけです。

マウスピースの適応症はたったこれだけです。
残念ながら、顎関節症の症状を和らげたり、
夜間の歯ぎしり・くいしばりを少なくしたりする効果はありません。


ただし、歯ぎしり・くいしばりが一時的に少なくなる可能性はあります。

マウスピースを口の中に入れると、異物が入って気になります。
ですから、歯ぎしり・くいしばりどころではなくなり、頻度が減るかもしれません。

また、マウスピースを入れるとかみ合わせの高さも変わります。
マウスピースに歯が当たると反射的に口を開けます。
思いがけず硬いものを噛んだときのことを思い出してください。
びっくりしてぱっと口を開けますね。これと同じです。

歯ぎしり・くいしばりが少なくなれば、症状・・・特に痛みは軽減します。

ただ、この効果は一時的なものです。
感覚がマウスピースに慣れてしまえば、歯ぎしり・くいしばりが再発します。
マウスピースの上で、歯ぎしり・くいしばりをするのです。

次回はマウスピースを長期で使ったときの問題点を解説します。


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