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今まで繰り返しお話ししてきた
顎関節症≒筋肉の疲労
顎関節症、恐れるに足りず!

しかし、単なる筋肉の疲労だからといって、
簡単に治せる(治る)というものでもありません。
それは、

  顎の筋肉を緊張・疲労させる習慣が何かある
  筋肉の緊張が持続するとそれだけで悪化するスパイラルになる

からです。

習慣は長い時間をかけて形成されるものです。
したがって、治る(治す)のにも、工夫と時間が必要です。

わたしたちの治療は二つの柱があります。

一つは、今、あなたが困っている症状を改善するための治療

これは、にアプローチをし、筋肉の緊張をほぐします。
ヨーロッパのマニュアルメディスンを発展させた治療法ですが、
特に「痛い」「痛くて開かない」といった症状が劇的に改善します

顎関節症への積極的なアプローチで、医師が担当しています。

もう一つは、顎関節症を再発させないための治療

お話ししてきたように、顎関節症は悪い習慣の積み重ねで発症します。
いくら今の症状をとったとしても、
習慣が改善されなければ顎関節症が再発する可能性が高いのです。
再発を予防するために、悪い習慣を探し、
習慣を抜くための適切な方法をご指導いたします。

こちらは、顎関節症への防御的なアプローチで、わたし(歯科医師)が担当します。

顎関節症の治療が難しいのは、
どちらが欠けても効果が薄れてしまう点ですね。


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長々とお話ししてきましたが、簡単にまとめると、

  顎関節症の大部分は筋肉の過緊張

ということです。

つまり、

  多くの顎関節症の原因は「筋肉の疲労」

です。
拍子抜けしましたか? ですが、これが真実です。

一日中、上下の歯を接触させ続けているのは、
一日中、歯を動かし続けているのは、
一日中、顎の筋肉を筋トレしているのと同じです。
痛くなって当然なのです。

口が開かないという症状は、顎関節の筋肉の疲労に、
顎関節という関節の代謝が悪くなることが加わって起きます。
これは近いうちに詳しく書きます。

顎を動かす筋肉は耳や頭の近くにあるため、
顎の筋肉の痛みを頭痛や耳鳴りと間違えてしまうのです。
また、場所が場所だけに病態以上に深刻にとらえてしまうだけです。

一部のマスコミは必要以上に恐怖心をあおります。
ですが、このように顎関節症はそれほど恐ろしい病気ではありません。

何度も書きますが、
顎関節症は恐れるに足りません!
お悩みの方は希望を持ってください!


ここまでの記事をお読み頂ければ、
顎関節症の原因を咬み合わせに求めるのは、
少し無理がある
のがおわかりになると思います。
・・・少なくとも理論的には。

それでも咬み合わせが気になるという方もいらっしゃるでしょう。

歯と顎の骨の間には歯根膜という線維があります。
歯根膜には、歯が触れたとか物を咬んだという感覚を感じる
センサーのようなもの(感覚受容器)があります。

上下の歯を接触させるクセがあると、このセンサーが鋭敏になりすぎ、
ちょっとした変化でも大きく感じる
のではないかと思います。

ちなみに、このセンサーは、かなり精密にできていて、
髪の毛一本を咬んでもわかります。
どのくらいの厚さの食べ物かわかります。
どんな固さの物を咬んだかわかります。
思いがけず固い物を咬めば、反射的に口を開けます。
通常でもこんなに鋭敏ですので、
これ以上は敏感になる必要はないのです。

また、このセンサーは脳につながっています。
いつも咬み合わせを気にしている場合は、脳の方の感覚が過敏になりすぎ、
ちょっとした変化でも大きく感じる
可能性があります。

  #これはどちらもまだ仮設の域ですが、
  #臨床経験から「当たらずとも遠からず」ではないでしょうか。

ですから、まずは、悪いクセを探して改善し、
咬み合わせが気になるならひとまず忘れて、
過敏になった感覚を正常な状態に戻すことが大切
です。


今日は
顎関節症の治療で咬み合わせを調整することの問題点
をお話しします。

顎関節症の治療を目的として
咬み合わせを調整した患者さんが必ずやることがあります。、

それは

  咬み合わせを確かめる

ことです。

どうですか?
やったこと、ありますよね?

顎関節症の痛みは、大半が、
周辺の筋肉の使いすぎによる痛みだとお話しました。
筋肉を使いすぎると痛くなります。当たり前ですよね。

では、「咬み合わせを確かめる」という行為を考えてください。

咬み合わせを確かめれば・・・つまり、顎を動かせば、必ず筋肉を使います。
そうです。使わなくて良いときに使っているのです。

痛みがある=日常的に筋肉が疲れている。
これにもかかわらず、咬み合わせを確かめることで
さらに筋肉に負担を強いているのです。


逆効果ですね。

これが、顎関節治療として咬み合わせを調整することの大きな問題点です。


一見、がっしりとして動かないように見える歯も、
実は少し動く
ことができます。
揺らせばわずかにですが、前後左右に動きます。
食べ物を咬めば、20ミクロンくらい沈み込みます。
弱い力をかけ続ければ、その方向に動きます(これが矯正です)。


歯医者が咬み合わせの調整をする紙の厚みは30ミクロンですので、
わたしたち歯医者はこのくらいのオーダーの仕事をしています。
この程度なら、本来は、歯の周りの組織(歯根膜、歯槽骨など)、
脳の感覚を感じる部分で吸収できます。

つまり、歯科治療や咬み合わせなら十分に適応力の範囲内ということです。

乱暴な言い方になりますが、
歯科治療(詰め物やかぶせ物)というものは、
この人間の体が適応する範囲内に収めておけば問題ありません。

どんな名人でも、寸分たがわずに再現するのは不可能です。
それでも世の中の大半の人が何事もなく過ごせるのは、
体(歯や脳)が詰め物やかぶせ物に適応してくれるからです。

  #もちろん、もとの状態に近づけるのに越したことはありません。
  #歯科医は、もとの状態にできる限り近づけようと、日々、努力しています。

つまり、良い咬み合わせというものは、
「点」「ポイント」ではなく「域」「ゾーン」
なのです。

ほとんどすべての歯医者は、当たり前ですが、
このゾーンの中で詰め物やかぶせ物を作れます。

一般的に問題ないゾーンの治療でも顎にトラブルが起きるなら、
咬み合せにこだわり続けるより、他に原因を探る方が建設的ではないでしょうか。



咬み合わせを考える上での問題点は、
その人に合った咬み合わせが

「ピンポイントで存在する」と考えがち

であることです。

「ピンポイント」=「一点」

顎に素晴らしくマッチした良い咬み合わせがあると思っていませんか?
美しい咬み合せは「一点」で定まると考えてはいませんか?

そんなことはありません。

人間の体には想像する以上の適応力が備わっています。

顎がズレても、あるいは咬み合わせが変わっても、
少しくらいの変化なら体が吸収してくれます。
歯の根っこや根の周りの繊維や骨などが新しい環境に適応します。

ですから一点から少しでもずれるとダメということはないのです。



かく言うわたしも、以前は、恥ずかしいことに
顎関節症の治療として咬み合わせの調整を行っていたこともありました。

天然の歯を削ることはありませんでしたが、
歯医者の手が加えられた咬み合わせを調整していたことがあります。
対象は、詰め物(インレー)やかぶせ物(クラウン、アンレー)、
矯正をしてうまく咬まなくなった歯でした。

難しい話になりますが、「入れ歯で痛い」のは、
咬み合わせを整えると治ることがままあります。
本来、咬むべき位置と、入れ歯の咬み合わせが違う場合です。

わたしは入れ歯を専門的に勉強していたため、
(専門用語ではホテツ科と言います)
咬み合わせには一般的な歯医者よりよく知っているつもりでしたし、
上手に合わせることができるという自負もありました。

入れ歯と顎関節を同じに考えていたんですね・・・。
ホテツ科のドクター(仮歯で調整するのに自信があるドクター)は、
なまじ、ウデに自信があるだけに、
この落とし穴にひっかかってしまうことが多いのではないでしょうか。

調整すると、左右が均等なきれいな咬み合わせになりますし、
患者さんも「良くなった」と言います(気を遣っただけかもしれませんが)。
しかし、次に来院したときには、以前の咬み合わせでななくなっています。
患者さんも何かしら不満や症状を訴えます。


何かおかしいと思いました。

「プラシーボ効果」という言葉をご存知でしょうか。

プラシーボとは偽薬という意味です。
ビタミン剤(偽薬)でも、「痛み止めだよ」と医者に渡されると、
少々の痛みなら痛くなくなってしまう
というものです。

咬み合わせの調整にも同じことが言えます。

咬み合わせの調整をすると、
「歯医者が削ってくれたんだからきっと効果があるのだろう」
と思うことで、良くなった「ように」感じてしまう
のです。

実際には効果があるかないかはわかりません。
しかし、次に来院したときに症状があるということは
治っていなかったと考える方が妥当ではないでしょうか。

こうして、

  咬み合わせは顎関節症の大きな原因ではない

と思うに至りました。


「咬み合わせを調整して顎関節症を治す」
という今までの治療にも理屈はあります。

それは、
  左右の咬み合わせのバランスを整えれば
  咬む力が左右の関節に均等に配分され
  顎関節の負担が減るだろう

というものです。

あなたの咬む力が「左100・右200」で顎関節症になったとします。
咬み合わせの治療は、
  咬み合わせを調整して、
  「左150・右150」や左「100・右150」にする
これが目的です。

これで治れば良いのですが・・・。

あなたの顎の耐久力が「80」だとします。
90や100だと痛み・音・開口障害という症状となります。
いくらバランスを整えても、100や150では顎関節症は治らないのです。

これが、わたしが
「咬み合わせを治しても顎関節症は治らない」
という根拠です。

そこで発想の転換が必要になります。

わたしがここで提案するのは、

  力のバランスはひとまず考えないことにして
  咬み合わせによる力そのものを小さくしてはどうだろう


というものです。

つまり「左100・右200」の咬む力を「左20・右70」にすることを目標とします。
バランスを合わせることよりも、
顎にかかる力そのものを減らすことを重視する
のです。
実際は左20・右30くらいになります(数字はイメージですが)。

バランスは良いが強い力がかかり続けている状態
バランスはほどほどだがほとんど力をかけない状態
どちらが疲れそうですか? 明白ですね。


明けましておめでとうございます。

今年も専門的なことをわかりやすくお伝えいたします。
このブログをたくさんの方に知っていただき、
顎関節症が少しでも軽くなることを祈っております。

さて。
今日は昨年の続きです。

顎関節症は

  たくさんの原因が「つみ木」のように積み上がって、
  あなたの体が耐えられる限界を超えたときに発症する


とお話ししました。これはとても大切なことです。
とかく一つのことに原因を求めがちですが、
(例えば、咬み合わせの悪さや、夜のはぎしりなど)
顎関節症の原因はいくつもあるのです。

ですから、顎関節症の症状を効果的になくす(小さくする)には、
大きなつみ木から外す必要があります。

では「大きなつみ木」とは何でしょうか。

顎関節には筋肉がついています。
顎を動かす筋肉・・・つまり、口を開けたり閉じたりする筋肉です。

この筋肉、特に閉じる筋肉は、
瞬発的に大きな力を出すのは得意ですが、
弱い力をジワジワ出し続けるのは苦手です。

腕や脚の筋肉と同じ種類の筋肉です。
赤筋、速筋などと呼ばれている筋肉です。

一日中、何かを手に持ち続けている状態をイメージしてください。
どんなに軽いものでも筋肉痛になりますね。
そう。「痛く」なるのです。

本来、顎の筋肉がリラックスしているのは、
上下の歯が2~3mm開いた状態
です。
歯を接触させているだけで、顎の筋肉を使い続けていることになります。
グッとくいしばっていなくても、ただ歯を触らせているだけで・・・です。

上下の歯が接触している時間は約20分とお話しました。
20分より明らかに長く歯を接触させているのは、
顎の筋肉に余計な負担をかけている
ことになります。
1日中、上下の歯を接触させていると、
顎の筋肉は、1日中、働き続けているのです。

顎を動かす筋肉も、腕と脚の筋肉と同じです。
使いすぎると筋肉痛・・・つまり、痛くなります

これが最も大きなつみ木になっている場合がほとんどです。
つまり、

  顎関節症を引き起こす大きな原因は、
  顎を動かす筋肉を使いすぎていること


だったのです。


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